顕微授精について
顕微授精は顕微鏡下にて精子を卵子細胞質内に直接注入する方法です。日本では1994年に初めて分娩例が報告された方法で、年々実施件数が増加しています。2020年の治療周期数はおよそ15万件です。
重度の乏精子症・精子運動障害や抗精子抗体・原因不明の受精障害など、通常の体外受精では受精しない、または受精する見込みが低いと判定された場合に顕微授精の対象となります。
精子の数が少なくても受精が可能である点が通常の体外受精と異なる点であり、従来よりも治療の可能性が広がりました。
顕微授精の手順
卵子の育成や採卵については体外受精と同様に行いますが、その後の受精方法が異なります。
顕微授精では形と運動性が良いとされる精子をひとつだけ選択し、顕微鏡を使いながら特殊なピペットで吸入していきます。そのピペットを卵子の細胞膜に穿刺し、精子を卵細胞質内に注入していきます。翌日に受精が確認されれば、体外受精と同様に胚盤胞になるまで培養を行い、子宮の中に受精卵を戻します。妊娠判定も体外受精と同じ方法で行います。