更年期とは
日本人女性の平均閉経年齢は50.5歳で、この平均閉経年齢の5歳前後の世代(45~55歳頃)のことを更年期といいます。
個人差はありますが、更年期の世代に入ると女性ホルモンが減少するため、体がその変化についていけず、心や体に様々な不調があらわれます。症状はさまざまで個人差もあります。
現代日本女性の平均寿命はおよそ87歳で、更年期の後も40年近く人生が続くことになります。更年期の様々な症状の治療は症状改善に加えて、老年期の動脈硬化の抑制や骨粗鬆症の予防などに有効とされます。その後の人生を充実したものにするためにもお悩みの方はぜひ一度当院へご相談ください。
更年期障害の主な症状
更年期は「症状のデパート」などといわれるほど、様々な症状が複合して現れます。中でも多くの方に見られるのは下記のような症状です。
1 血管の拡張と放熱に関する症状
- ほてり
- のぼせ
- ホットフラッシュ
- 発汗など
2 その他の身体症状
- めまい
- 動悸
- 胸が締め付けられるような感じ
- 頭痛
- 肩こり
- 腰や背中の痛み
- 関節の痛み
- 冷え
- しびれ
- 疲れやすさなど
3 精神症状
- 気分の落ち込み
- 意欲の低下
- イライラ
- 情緒不安定
- 不眠など
検査と治療
更年期障害と似た症状が現れる疾患には甲状腺機能異常症、糖尿病、貧血、メニエール病、膠原病などがあります。疾患の見逃しを防ぎ、更年期障害ときちんと鑑別するためまずは患者さんの症状について細かく問診を行い、更年期障害が疑われる場合には、血中の女性ホルモン量を調べる検査などを行います。
そのうえで更年期障害と診断が下りた場合は患者さんの状況やご希望に合わせて治療を行います。治療は大きく分けて下記のようなものがあります。
1 ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)とは、更年期の女性で分泌が低下するエストロゲンを薬で補う治療法です。HRTに用いるホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあり、またその投与法もさまざまです。よく話し合いながら、その人に合った治療法を選択していきます。
2 漢方療法
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と身体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。更年期の症状がある場合は、「婦人科三大処方」とも呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸を中心に、その方にあった処方を用います。症状によっては複数の漢方を併用する場合もあります。